羊と米の海

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須田景凪の「Carol」繊細過ぎ問題(楽曲簡易感想)

 

 

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hirayamataira.hatenablog.com

 

 

 

 ごきげんよう、フラットです。テレビの映りを確認すべくNHK総合にチャンネル合わせたら性生活オンラインとかいうのやっててたまげました。朝だぞ。

 

 

 須田景凪さんご贔屓組の皆様、如何お過ごしでしょうか。特別でない日々の中、のんきに食っちゃ寝されておりますでしょうか。

 それとも課題に追われて貴重な水曜日や日曜日を消しているのでしょうか。はたまた登校日に新曲公開なんざ畜生の所業! NHKの野郎……須田の野郎……! とやり場のない憤りを隠して笑っているのでしょうか。ところで自分の子供時代思い出しながら作った曲を、よりにもよって子供らが学校行く曜日に公開するとかダースー氏はアレだね。なかなかサディスティックだね。ファンの大半が頑是ない学生だという事を彼(とNHK)は把握しているのだろうか。

 

 

 ファンの悲喜こもごもはひとまず置いときまして。

 本日6月1日、月曜日、10:55。NHK総合みんなのうたにて。

 

 リスナー沸かせにステ全振り芸人・須田景凪氏がまたぞろやってくださいました。

 

 

 

「Carol」です。

 

 

 

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 ………… 繊 細 !

 

 

 

・須田景凪の音はいつも私の心に何かしらの刺激を与えてくれる。「はるどなり」は心に突き刺さり、「MUG」は心を指先でくすぐり、「Alba」は心に湧いた情動の一切を押し流していった。聴く者の胸の内に「何か」を抱かせる。そんな歌を唄うのが埼玉よりの刺客・須田景凪である。

・果たして今回はどんな感情を抱かせてくれるのか……

ワクテカしつつイヤホンを付けた途端、朝を呑んだ。間違えた。息を呑んだ。

 

・これは、まるで……音に包まれる様な、不思議な心地。豊かに澄んだピアノの響き。柔らかく大きな広がりを持った音色。優しい歌詞。深みのある艶やかな歌声。その全てに心どころか全身をそっと包み込まれてしまった。あまりの美しさにオタクの醜い心も見事浄化。本当にありがとうございました。

 

・ピアノ大好き人間にとっちゃ歓喜しかない美し過ぎる音色から始まった「Carol」。一音一音しっかり響かせる丁寧な伴奏が新鮮で、もうこの時点で楽曲世界に惹き込まれっぱなし。今までにない繊細な響きが心にじんわり沁み渡ります。

・須田曲の醍醐味と言えば不動明王張りに安定感のあるドラムビートですが、今回ドラムの主張はやや控えめ。代わりに立った不動明王代理が前述のピアノでございます。

・これが始終良い味出してましてね~。しっとりしつつも軽快、柔らかく豊か、そして壮大という一言では到底表せようもない実に心打たれる旋律です。

・特にBメロの転調で入る伴奏。あれ最高。硝子めいて硬質な響きが非常に良く、うねる様に柔らかなメロディラインと合わさって何やらじーんと来るものがあります。須田さんはドラムも堪能だけど、ピアノの扱いにも長け過ぎてて何かもう向かうとこ敵無しっすよね。

 

・ジャンルは王道バラードと言ったところ。賛美歌のイメージで作ったというだけあってかなり厳かなムードでして、合唱コンクールで歌っても全然違和感なさそうな趣です。今年の秋辺り「須田景凪のCarolやりましょう」と鼻息荒く提案するオタク学生激増の未来が見える。

・しかし緩急に富んだメロディからはR&Bの匂いが、しっかりビートを刻みつつも常時揺れている様な音使いにはチル要素も感じ取れ、ただの優等生的バラードでない事は一目瞭然。お得意のグルーヴ感も勿論健在でして、いつもより控えめながら、サビに向け徐々に盛り立てていく気概に決して消えぬ須田景凪節を感じます。

・あと地味に全く新しいバラード表現を開拓してんのが凄いなーと。うるさい系バラード筆頭「シックハウス」、フォーキーな「語るに落ちる」、一種悲痛な「はるどなり」などなど今まで歌ってきたバラードとはまるで違う優しさ・壮大さ・清らかさを内包した響きがとても新鮮です。これまでの曲の要素を残しながら新たな表現法を編み出すとこ、須田さんの進化を感じてぼかぁワクワクします。

 

・そして何と言っても最高なのはやはり歌声。聴き手を優しく包み込む様な深い響きがこれまた今までにない感じ。

・このどこまでも響き渡りそうな艶やかに澄み通った声、まさに美声。いつものファルセット効かせたイケイケドンドン感もキチンと残してるし、要所要所で吐息サービスかましてくれるし、咽喉から振り絞る様な必死感もちょいちょいあるし、何か、あれだ。んほ~ってなるね。この須田景凪たまんねえ~ってなるね。「Carol」も形になってきたな!

 

・言葉尻をあえて曖昧な発音にしたり、わざとタメ作ったりと歌い方にもかなり工夫凝らしてる印象。最近の須田曲は「隙間」が多くなってきた気がするのですが、今回も〝言葉数多めなリリックを早口で捲し立てる〟という従来のスタイルを崩しています。

・その「隙間」を特に感じたのが間奏のヴォカリーズパート。Quoteやteeterの時だったらささっと間奏終わらせてすぐ二番Aメロに行きそうなものを、今回は何とla la laと美しいコーラスを加えているのです。凄く印象的なパートだと思いました。歌詞のない母音のみを歌う事で、却ってリスナーそれぞれの脳に浮かんだ心像風景とマッチする様な。当然「MUG」のランララララァァン……とは全然違います。

 

・あと今回は吐息の使い方が強いね。「寄り道をしたァヘァッ、「どうか忘れてェヘァッ↑しまわぬように」etc……と独特の高音ボイスが持つ癖の強さをフル活用しております。ラスサビの「笑ァ゛ァ゛↑い方も~」なんか須田節効き過ぎてあ゛ぁ~~ってなりまっせ。何か、私の表現力不足のせいでちょっと面白い感じになっちゃってるけどホントに良いんですってば。マジですって。

・須田さん曰く「今まで自分の歌声と意識的に向き合ってこなかった。今は正直模索中」との事ですが、それにしたってここ最近表現力上がり過ぎな気がする。「はるどなり」といい「Alba」といい歌声にオーバーキルされる機会があまりに多過ぎるんだよな。リスナーのHPはもうゼロですよ。実にサディスティック。最高。

 

・そんなドSな歌声で艶やかに唄われるのは、これまたドSもといドエモい歌詞。全体的に音数少なめでシンプルなアレンジだからか、いつもより歌詞がストレートに響きます。

 

帰路の騒がしい街

夕の朱色まで すべて染め上げていく

寄り道をした

 

風が連れ去る花びら

日々に灯っていく哀楽

名前はいらない

 

幸せを思い出すと

その度あなたが隣にいて

目を瞑る笑い方も

どうか忘れてしまわぬように

 

・一番より。懐郷の情を呼び起こさせるどこか切ない歌詞。何気ない日常の一コマを切り取った様で、心なしかシンプルな表現が多いです。

・曰く「嬉しかったり悲しかったりする感情を言葉でどう表現すれば良いのか分からず、もどかしい気分になっていた幼少期」「周りからかけられる温かい言葉にすら傷付いていた繊細さ」を思い出しながら作ったとの事。この〝幼少期に覚えた言い知れぬ悲しさや寂しさ〟は、おそらく誰もが経験した事なのではないでしょうか。

 

・これは個人的な考えなのですが。子供は大人の想像以上に色々なものを抱えて生きていると思うんです。決して無垢で無知で純粋な存在ではない。それぞれが大なり小なり悩みを抱え、薄汚い思想や誰にも言えない欲望を幼少の頃から持っている。経験の少なさ故に言語化出来ないだけで、その胸の内には大人と同じくらい、いや、大人以上に様々な感情が蟠っている。そして、非常に傷付きやすく儚いものも持っている。そういう存在が子供なのだと私は思っています。

・だからこそ、子供はちょっとした事で容易く傷付き、思い悩む。大人からして見れば些末に過ぎない事も、子供からすれば人生を左右しかねない大事だったりするのです。大人になれば「そんな事もありましたなぁ」と笑い飛ばせる過去ですら、当時は真剣に思い悩んでいた。時には死を考えた事もあったほどに。

・そんな一種滑稽で切迫した悲しみを通り過ぎて子供は大人になってゆくわけですが、当時を「黒歴史」「恥ずべき過去」と称して記憶から消し去りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。未だ過去に囚われて悩んだり、後悔したり。「Carol」はそんな過去の全てを肯定してくれる曲だと思います。

 

・どんな生き方も思い出も「それでいい」と受け入れ、ただ静かに寄り添ってくれる。何も言わずに手を握ってくれる。背中を支えてくれる。そんな温もりを楽曲から感じました。喜びだけでなく、悲しみや怒りもまとめて美しいものだと全肯定してくれる圧倒的懐の深さ。ネガティブな感情を排斥しようという風潮の強いこのご時世、ここまで包容力に溢れた曲が果たしてあったろうか。

 

瞑る目の奥でさえ

今日が手招いた

明日が迫り来るまで

手は離さない

 

喜びも嘘も涙も

あなたが育てた魔法だ

言葉はいらない

 

後悔に溺れても

あなたがあなたでいられるように

傷跡も隠さずに 朝の光に謳いたい

 

・ 二番より。感情に複雑な名前は必要ない。その感情を覚えた事が大切で、その感情を教えてくれた相手がいたという事実だけで良い。負った傷跡もあなた自身なのだから。

・須田景凪が幼少期の自分にあてた様にも思える歌詞。いくらなんでも優し過ぎないか……? 須田さんは如来の化身か何かなの……? 色々全肯定し過ぎなもんだからおじさん何か心配になってきたよ。

 

・喜びも悲しみも、怒りも憎しみも、全てを「美しい」と受け入れる大変に器のデカい曲。それが「Carol」。「語るに落ちる」同様、須田さんの人柄が滲み出る様な優しく繊細な曲でありました。

・ほんっとーにダースー氏には早いとこ天下取っていただきたいですね。こんなバリ魅力的な兄ちゃんがJ-POP界の片隅にいるなんて明らか役不足っすよ!

 

・あと須田さんが言ってた、感情を上手く表現出来ない云々が分かり過ぎて単純に辛いっていう。ブログ書いてる時いつもそうなってますもん私。素晴らしい曲を素晴らしい言葉で表現したい、しかしどんな表現もしっくり来ない。さんざっぱら悩み抜いた挙句安定の「エモい」に逃げる。知能と表現力の低下が著しいんだよな最近。

・ここらへん、推しへの愛が高まり過ぎたオタクに通ずるものある気がするね。新曲公開やイン須田ライブの後にTwitterのTL覗くと「須田さん! 須田さん須田さん須田さん! あ、顔が良い~! 須田さん! 顔! 良い! 須田さん須田さん須田さん! ああ~須田さん~!」しか言ってないし皆。暇な時に「須田」がいくつ書かれてるか数える作業やって遊んでる。

 

 

 

 

 そんなこんなで須田景凪最高! 地上波進出おめでとう! 曲の感想は以上です!